皆様こんにちは、まろ(仮)です。
前回に続き多層鋼の話ですが、今回はもう少し複雑な造作です。
積層鋼(所謂ダマスカス鋼)のナイフ
写真上から
① 伊藤裕翠作「和風小刀」
② メーカー不詳(兼常か?)「細工用小刀」
③ カーショウ(Kershaw)「№1050 Folding Field 30th Anniversary」
何故【所謂】としたかというと、冶金学上のダマスカス鋼の製造技術は
19世紀末頃に失われた為。
個人的に現代の物は『ダマスカスとは別物』だと思っているので文中では【積層鋼】と呼称。
(商標権者が存在しない以上名乗るのは自由という考え方もありますが)
刀剣の様に瞬間的な大きいエネルギーに耐える必要の無いナイフに採用される理由は
耐蝕性かそれ以上に【視覚的アピール】なのでしょう。
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① 伊藤裕翠(いとう ゆうすい)氏作のワンピースナイフ
粉末鋼(武生Super Gold Ⅱとも聞くが真偽は不明)を心材にした利器材
全長(刃長)×幅×厚さは 185(77)×12.5×3.3mm(約)
「最大瞬間鋭利さ三傑(当家比)」の第一位(二位はFuji №1)
↑ 刃部拡大 熱処理後にエッチングで模様を浮き出させている
グラインド(研削)はフラット
↑ ハンドル拡大 全体で模様が楽しめるのがワンピース
因みに裕翠さん、グッチ裕三氏の包丁の作者としても知られている
(勿論カスタムナイフメーカーとしては世界的に有名な方)
↑ ② メーカー不詳の小型ナイフ
全長(刃長)×幅×厚さは 140(55)×22×3.3mm(約)
特にエッチング等は施されていない
キャンプでの雑用を目的に購入したがハンドルが微妙に短い(笑)
日本刀の「鍛え肌」を思わせる地金
心材は「日立白紙二号」と思われる
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少し脇に逸れて刃物鋼以外の物も
ボルスター(口金)に用いられた【杢目銅(もくめがね)】の技法
ステンレス(多分SUS304)・銅・真鍮 の織り成す波紋
露出している部分で13層は数えられる
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本題に戻って・・・
↑ ③ Kershaw 「№ 1050 Folding Field」創立30周年記念モデル
開長(刃長)×刃幅×刃厚は 210(90)×24×4mm(約)
Gerber社から独立したP.Kershaw氏のブランドだが
製造は貝印(現在の商標権者でもある)
↑ コンピュータを駆使するとこんな模様も設計出来る(らしい)
エッチングによる凹凸は微細なので、研磨剤で磨き続けると
どんどん目立たなくなりそう。
↑ 写真写りは今一つだが心材以外にも積層の縞模様がある
心材はV金10号
今や廃番品の№1050だが、嘗ては同社の看板商品だった
世界有数の「ゴツい」フォルダー
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手持ちの中から積層鋼のナイフを紹介しましたが、
最近はコアレス(coreless 心材を用いず複数の刃物鋼で構成)や
ダマスカス風プリント柄のものもあるようです。
手間が掛かっている分割高感はありますが、
「見た目の面白さ」や「他人とは違うものを」といった
根強い購買層があります。
一方「実用上のメリットに乏しい」とするアンチの方も。
貴方はどちらですか?(どうでも良いという方が大多数でしょうが)
今回もお付き合い頂きありがとうございました。
それではまた、まろ(仮)でした。