2019年05月17日
ピンのかしめ~完成 -オピネルのナイフ- ⑥(終)
皆様こんばんは、まろ(仮)です。
ピボットピンのかしめ作業を行って完成の予定です。
用意したのは「叩く用」と「金床代わり」の二つの金槌と鑢(ピンが長すぎた時に使用)。
机の上だと跳ね返って捗らないので本当なら基礎のしっかりした場所で作業したいところです。
ピンの縁を軽く「コツコツ」と1~2周
少し広がったら力を強めてもう1~2周、抜け防止なのでキノコ状に広がればOK。
反対側も同じように。
両側の出っ張り具合を確認、出過ぎているとリングを回す時に中で引っ掛かります。
リングを装着して動作に異常がなければ・・・、
めでたく完成です♪ ブレードはヘアライン風仕上げ、機械が欲しい・・・。
ブレードもほぼセンターに収まっています。
第二回で「ハンドル内部(タングが入る部分)を削る際、ブレードが収まる部分と並行にする」
と書きましたが、目指した通りの仕上がりです。
判り難いかも知れませんが、ナイロンワッシャーにレーザー光を照射しているところです。
ワッシャーを挟むことでタングとハンドル内が接触しないようになっているのがお判り頂けると思います。
これで多少伸縮しようが動作に影響はないはずです。
全6回に亘ったオピネルの話はこれにて終了、お付き合い頂きありがとうございました。
-補記-
このナイフは縁あって某ブロガー様の許へお嫁に(?)行きました。
2019年05月17日
組み立て -オピネルのナイフ- ⑤
前回の記事の作業から凡そ四ヶ月、油の滲みも止まりました。組み立てることにします。
記事にはありませんが、ブレード側面の研磨も終っています(撮影してると作業が進まない為割愛)。

揃った部品(手前)と工具(奥)といってもプライヤとピンセット(押さえると開くタイプ)

まずハンドルにボルスター(口金)を被せ、ピンを通します、これで双方の穴位置が決まりました。
ピン(3mm径真鍮棒)は25mm程に切ってあります。

ピンを途中まで抜き、ワッシャー、タング(ハンドルに入るブレードの一部)ワッシャーの順にピンを通します。
(写真はタングまでピンが通り、二枚目のワッシャーを入れる前の状態)

もう一方のワッシャーも入れます。少しキツイくらいが丁度良い(完成時に)ので慎重に(ズレないように)入れます。
何度か「やり直し」になったのはここだけのヒミツ(笑)。
刃引きしてあるとはいえ、エッジ部には注意して作業します。

何とかピンが通りましたので、何度か開閉して問題がないか確認します。
次回は「ピボットピンをかしめて完成」となります。
2019年05月17日
「更に奥まで~含浸しちゃうぞ~」 -オピネルのナイフ- ④
前回、今回は「木製のハンドルに如何にして乾性油を浸み込ませるか」が主題です。
で、結論「含浸しよう(タイトル通りですね)」
友人(工作の師匠)YOSI君の自宅兼工房へ

簡易「真空含浸装置(私発案、YOSI君作)」です、ステンレス(SUS304)管に栓と複数のバルブが付いています。
管内にハンドルと荏胡麻油を入れて密閉してから右の「空調工事用ポンプ」で真空になるまで減圧し、
バルブ(上左)を開いて大気圧で芯まで油を浸み込ませようという計画です。

先ずは乾燥重量の測定、含浸後の重量と比較すれば何gの油が浸み込んだか分かります。

圧力計が0を示したらポンプを停止、バルブを開放します、容器内は瞬時に大気圧に戻ります。
容器からハンドルを出し、再度重量を測ります、勿論下敷きの重量は予め除いてあります。

重量の増加は6g、荏胡麻油の比重をサラダ油並み(約0.92)として、6.5cc程が浸み込んだ計算です。
「後は滲み出る油を拭き取りつつ磨く数ヶ月だな」などと思いながらの片付け中、
「あれ、(ポンプ油の)液面上がってねぇ?」とYOSI君の声。
どうやら減圧した際に沸騰した「荏胡麻油の揮発成分」が、ポンプ油の中で凝縮した様です。
「真空になった容器に、大気圧で油を圧し込む」のが正しい手順の様です、勉強しました。
(荏胡麻油を吸ったかも知れない)ポンプと圧力計の洗浄が、当日一番大変な作業でした(苦笑)。
次回は組み立て作業(ピボットピンを通す迄)を予定しております。
2019年05月17日
乾性油を浸み込ませる -オピネルのナイフ- ③
今晩は、まろ(仮)です。
今回は一番の山場、「ハンドルに乾性油を浸み込ませる」です。
何故乾性油を浸み込ませるのかを、「乾性油とは何か」からご説明します。
乾性油とは大雑把には「酸化によって硬化(樹脂化)する油脂」です。
(亜麻仁油・荏胡麻油・胡桃油・桐油等の植物油脂が有名ですね)
「乾性油を浸み込ませ、硬化させることで水の浸入を防ごう」という発想です。
どなたが考えたのかは知りませんが、十年ほど前には「某・巨大掲示板」で語られていました。
ある人は「何度も塗りこむ」、別の人は「漬け込む」等々・・・。
因みに「不乾性油(オリーブ油等)では硬化しないので効果は期待できない」と結論付けられていた筈です。
私が初めて試したのは2013年頃、「#12 INOX」です。
↑
#12 組み立て前(加工後)の写真
↑
荏胡麻油とハンドルを密閉袋に入れて
↑
細かな気泡が「出なくなるまで」熱湯で湯煎して放置(冷める過程で油が浸み込む為)します。
冷めたら取り出して陰干し(滲み出す油を拭き取りながら)数ヶ月、油が滲んでこなくなったら完成です。
ハンドル表面近くの油が硬化していれば不透水層になっているはずです。
(切って断面をみれば良いんでしょうが、テストピースまでは作りませんでした)
で、完成品がこちら ↓
乾性油を浸み込ませた分重くはなりましたが、概ね満足な仕上がり、
丸洗いできるので、キャンプでは野菜用の包丁に使っています。
今回はここまで、次回は続編、「更に奥まで(仮)」ですが、その前に
注意事項です
「乾性油を含んだ布は、丸めて放置すると『発熱・発火』の危険があります」
充分注意の上お取扱い下さいませ
それではまた次回。
2019年05月16日
分解~ハンドル加工 -オピネルのナイフ- ②
今晩は、まろ(仮)です。
今回はオピネルのナイフを分解して、ハンドルを加工します。
先ず「刃引き」(刃を削って切れなくすること)しておきます、ポイント(切っ先)もカバーした方が良いですね。
分解の第一の関門は『リング』です、「ロックした状態から強引に開いて外す」等と良く見かけますが、
「危ないので止めて下さい」
と声を大にして申し上げます、ナイフが破損するだけならともかく、怪我したらつまらないですよ。
ではどうするか?至って簡単、「スナップリングプライヤー等の工具を使いましょう」
写真上の赤いハンドルは「Eリングプライヤー」、握ると爪が開く工具です、 ホームセンター等にあります
リングが外れたら第二の関門『ピボットピン』です、鑢(グラインダー)でカシメ部を削り、反対側へ抜きます。
ピンは短くなって再利用不可なので真鍮棒で新調します、#9~#12は3mm径で共通です(役に立たない豆ww)。
めでたくバラバラになったのでハンドルを加工します。
#240のペーパーがロールであったので蒲鉾板に貼り付けておきます(出番は少し後)
先ず 塗装をすべて剥がします、特に木口(こぐち・木の繊維を垂直に近い角度で切断した面)は念入りに。
塗装が剥げたら板の出番、側面を後ろに向けて薄くするのが私の好み。
この過程でピボット部を1mm弱広がるように削ります(0.5mmのナイロンワッシャーを2枚組み込む為)。
理想は刃が収まる部分と並行にすること。
整形完了。後端上側尾鰭状の突起は削り落としました、もう開閉が渋くて「コンコン」することはないので。
ここ迄の作業時間は30分程、ブナ材は軟質なので削るのにさしたる苦労はありません。
ソングホール(Thong hole 紐通し穴)が必要ならこの時に開けます。
ここで一度「仮組み」をして、ワッシャーの入るスペースの有無を確認します、
狭すぎたら削り、広すぎたら組み立て時にスペーサーでも挟みましょうかね。
今回はここまで、次回は「乾性油を浸み込ませる方法」をご紹介します。
2019年05月16日
貴方は改造する?しない? -オピネルのナイフー ①
アウトドアを嗜む方でご存知ない人はいないであろう「オピネル」のナイフ。
価格の低さ、素朴な造り、薄めの刃、バリエーションの豊富さもあってか人気の模様。
一方で、「ピボット(可動軸部)がキツくて開閉できない」、「新品のままでは切れない」という声も聞かれます。
ピボットがキツくなるのはご存知の通り「ハンドル材(ブナ)が吸水して膨れる為」、日本はフランスより湿度が高いですからね。
国内向けの国産刃物は大半が出荷前に研がれていますし、フランス人は私達ほど鋭利さを求めていないのかも知れません。
何でそんな話をするかといいますと・・・、
「別にオピネルでなくてもイイんじゃない?」
と私自身が思っているからです、日本は世界的刃物生産国ですし良い刃物は身近に溢れています。
「ならお前オピネル嫌いなのかよ?」と思われた貴方、此処からが本題です。
ネットの世界を徘徊していると、様々な方、オピネルと出会います。
曰く「オリーブオイルに漬けた」、曰く「乾性油でなきゃ駄目」、曰く「乾性油漬けは最悪、手など加えるな」etc etc・・・。
「本人が納得の上で楽しんでるならいいじゃん」と思う反面、「余り意味なさそう」とか「危ねーよそれ」と思わされる記事があるのも事実。
ならば「私にとっての快適なオピネル」を紹介するのも無意味ではないでしょう(工作好きの言い訳)。
口上が長くなりました、本編に入ります。
対象はこちら#10 INOX です

手持ちの#9 カーボンスチールとの比較、光って見えるのはツールマーク(研削痕)の為

改造の方針は以下の通り
1) 開閉が常にスムースで、安全であること
2) 握り易い(使い易い)こと
3) 見栄えも(出来るなら)良いこと
具体的作業内容
1) ハンドル材に乾性油を含ませ硬化させる(水分を吸わせなくする) 同時にナイロンワッシャーを組み込む
2) 握り易い形状に削る(乾性油を含ませる前に行う)
3) ブレードはツールマーク(研削痕)がなくなる程度には磨く
今回はこの辺で、 次回は「分解~ハンドルの加工」を投稿の予定です
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